周波数安定化Proj
こちらの実験で、VHF、UHF、SHFなどでも、新しいデジタルモードを使うとなると、それなりの周波数安定度が必要な事を改めて実感しました。
この周波数帯のトランシーバでは、ベストセラーの一つと言われているIC-910Dに、オプションの高安定度基準発振器をつけた状態でも、フルパワーで、デジタルモードの送信を繰り返すと、結構なQRH(周波数変動)があります。 特にJT65などは、シングルトーンに近い信号ですので、送信時の温度上昇は最大定格になっています。
また、最近の機械は小型で、騒音低減のため、温度による冷却ファンの制御をしているので、FANのON-OFFの度に筐体内の急激な温度変化を引き起こします。 これが周波数安定度にとっては問題が大きいようです。
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【補足 (2008.10.01) 】
以下に、周波数安定化Projの関連記事を記述していますので、こちらもご覧下さい。
周波数安定化Proj : この記事です、基準水晶発振器の基本特性を測定
周波数安定化Proj-2 : 発泡スチロールで挟んで恒温化
周波数安定化Proj-3 : 基準水晶発振器をバリキャップで制御出来るように改造
周波数安定化Proj-4 : バッファなどを回路図に落とし、ケースを検討
周波数安定化Proj-5 : 部品実装図を作成。 部品を集めて、不足部品を確認
周波数安定化Proj-6 : ベース基板を組み上げるが問題あり。 恒温槽部分も加工する
周波数安定化Proj-7 : 水晶発振器を安定に発振させるって難しい。 まだ完成せず
周波数安定化Proj-8 : ほぼ完成の域、一旦、特性を採ってみる
周波数安定化Proj-9 : 周囲温度安定化のため、ヒーターを検討
周波数安定化Proj-10 : ヒーターコントロール基板の回路図・部品実装図を作成
周波数安定化Proj-11 : ヒーターコントロール基板を製作、全体を組み上げる
周波数安定化Proj-12 : 温度モニタが動作し始める
周波数安定化Proj-13 : ケースに組み入れて、最終形態の特性を採ってみる
周波数安定化Proj-14 : 基準発振器をヒーターパネルに直接くっつけてみる
周波数安定化Proj-15 : ドライヤーであぶって特性を取ってみる
周波数安定化Proj-16 : IC-910Dをばらし、改造案を考える
周波数安定化Proj-17 : IC-910D-IF回路の検討
周波数安定化Proj-18 : 回路図を清書、実装図を作成、IC-910D改造第1ステップ
周波数安定化Proj-19 : 外部基準発振ユニット側の信号にBuffAmpを追加
周波数安定化Proj-20 : インタフェース基板を作成・IC-910Dに取り付ける
周波数安定化Proj-21 : 変なスプリアスの対策をする
周波数安定化Proj-22 : 変なスプリアスの対策・基板修正をして、ほぼ完成
周波数安定化Proj-23 : 最終調整と特性測定
周波数安定化Proj-24 : 測定器(IC-756PRO)を校正し直し、周波数ずれを再調整
周波数安定化Proj-エピローグ : お空で動作を確認、サンプリングレートと測定値
周波数安定化Proj-エピローグ2 : パソコンの測定プログラムの精度を確認
周波数安定化Proj-エピローグ3 : 基準周波数の変動が目的周波数に及ぼす影響
周波数安定作戦2 : デジタル技術を使って周波数確度を求める次のステップへ---------------------------------------------------------------------------
そんなんで、以前から、IC-706MKIIGのFANに細工をしたりしてしのいできましたが、やはりFANの対策だけでは限度があります。
そこで、根本的に、基準発振器の周波数安定度の向上に取り組もうと意を決して取り組むことにしました。
GPS基準発振器でロックさせた信号を、トランシーバの基準発振器の代わりに入力してやれば、確実に安定するのは分かっていますが、何せ、高価ですし、自作するのには敷居が高そうですし、上手く行かなかった時のリスクが大きすぎます。
。。。。などと、考えていたら、「おお、そうだ、IC-910Dから外した標準の基準周波数発振器がある。」と思いつきました。 「これを使って、別筐体にすれば、送信時の温度上昇の影響を排除できるのではないか?」
と言うことで、部品箱の中から、取り外した、IC-910D標準の基準周波数発振器を見つけ出してきました。。。。で、ハダカの特性はどんな物かと、色々、計ってみました。
ジャンピングボード上に、IC-910Dから取り外した標準タイプの基準発振器であるCR-452とデカップリングコンデンサ、終端抵抗をつけただけの回路を組み立て、IC-756PROのアンテナに接続してあるケーブルをプローブとして近づけておきます。
基準発振器の発振周波数は、30.2MHzです。これを、設定周波数30.2MHzのCWモードで受信すると、600Hzのオーディオシグナルが出てくるはずです。 これを、Spectran で測定します。
基準発振器CR-452についている周波数調整用トリマのタッチは非常に微妙で、600Hzに合わせ込むのは「至難の技」です。 電源ONからの周波数変動はほとんどありません。 ただ、室温のわずかな変動を受けて、周波数がドリフトしています。 結構、温度に対する変動は大きそうです。 これなら、温度計になりそうです。 電源ON後50分の周波数変動は、室温の変化の影響も含めて、1.5Hzぐらいです。 なお、Spectran の周波数分解度設定は0.18Hzです。
試しに、ドライヤーの温風でちょっと炙って見ました。 ほんの5秒ほど炙っただけですが、スケールアウトするほどの周波数変動です。 これにはビックリしました。 ドライヤーの冷風で炙ると、挙動不審の動きをします。 まだ、ドライヤーの中のヒーターの熱が残っていたのかもしれません。 そのまま放っておくと、50分ほどで元の周波数に戻ってきました。
次に、ドライヤーほど高温ではなく、均一な温度環境と言うことで、朝から点けている、IC-756PROのケース天板上に、ジャンピングボードごと置いてみました。 室温が約22℃で、IC-756PROのケース天板上では約48℃でした。 約26℃の温度差で34Hzの周波数変動があります。 1.3Hz/℃と言ったところでしょうか?
145MHzで約4.8倍、435MHzで約14.4倍、1295MHzで約42.9倍の周波数変動に換算できるとすると、IC-910Dの場合、電源を入れて、ずっと受信状態の時、ケース天板の温度は40℃まで上がりますので、電源を入れてから安定するまで、標準の基準発振器を使った場合、145MHzでは113Hz、435MHzでは339Hz、1295MHzでは1009Hzも初期周波数変動することになります。 これは結構、大きいですね。
仕様では、標準の基準周波数発振器で、-10~+60℃で±3ppm以内となっています。 -10~+60℃で上記の1.3Hz/℃でリニアに変化するとすると、3ppmになります。 ±1.5ppmと言うことで、まあ、仕様には十分入っていることになりますが、この倍まで、許容偏差があるなんて、「どんだけ~」って感じですね。 オプションの高安定度基準発振器ユニットですと、0~60℃で0.5ppmとなっていますので1/6という感じです。 温度範囲が少し違いますが、高安定度基準発振器ユニットを使っても、周波数変動は大きいと言うことが分かります。
さて、この基準発振器は、温度変動に弱いと言うことはよく分かったので、これからどうするかと言うことですが、
・ 別筐体に分離する : これだけでも送受信時の短期変動には効果あると思います。
・ 恒温化する : 短期変動を0.1℃以内に抑えれば、145MHzで0.6Hz、435MHzで2Hz、
1295Hzで6Hz程度に抑えることが出来そうです。
と言うようなことをやってみようかと思います。
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